タイミングを逃す?逃さない?
これだけ見れば古いカードもバッチリ!
/所要時間3分
「タイミングを逃す」とは?
遊戯王OCGにおいて難しいとされるルールの中でも代表的な「タイミングを逃す」
難解なイメージが定着していますが、現在では古いカードを使用する場面でしか「タイミングを逃す」状況には陥りません。
それでも、知識として知っておけば必ず強くなれます。プレイングが上手くなります。
誰もが何度も間違って覚えていくルールですので、最初から全部理解しなくてもOKです。
友達が分からなくて困っている時や対戦中の確認にでも、ぜひ使ってみてください。
「タイミングを逃す」の理解が難しいっていうけど…
普通にプレイしててもそんな状況あんまりないよ?
最近のカードだけを触っているならほとんど問題ないわ。
気を付けるべきは昔から優秀なカードを使うときなのよね。
《灰流うらら》等の手札誘発を使うときにも大事よ。
「タイミングを逃す」ってどういう状況?
「タイミングを逃す」とはカードの発動条件を満たしているものの、発動できるタイミングが過ぎてしまったことを指します。ルール上発動できない場面を説明するための言葉なんですよね。
分かりやすいイメージとしては、電車の運賃を払っているのに、指定時間がギリギリで間に合わなかったみたいな感じです。
目の前で乗るはずだった電車が通り過ぎていくアレです。誰でもそういう経験1回はあるよね?
運賃:電車に乗るための発動条件
時刻表:指定されているタイミング
必要な知識のおさらい
「タイミングを逃す」について話す前に前提となる知識が必要になるので順番に説明します。
まず、任意効果・強制効果という2つの効果区分について説明する必要があります。
強制効果(~する):プレイヤーの意志に関わらず、トリガーを満たすと強制的に効果を発動する。
また、なんらかの条件を満たしたタイミングを表すテキストとして「~した時」・「~した場合」という2つの条件があります(通称:時と場合)。
~した場合:処理や条件を満たすと使用できる
●場合の任意効果:「~した場合、~できる」
●強制効果:テキストに時・場合のどちらが記されていても効果処理に違いはない
ん~?まだよくわからないや
「タイミングを逃す」が起きる場面ってどんな時なの?
●チェーン2以降で発動条件を満たした時
●コスト、リリース、各種素材等で墓地に送られた時
●一連の効果の途中でその発動条件を満たした時
の3つが主な場面ね。
「タイミングを逃す」が起きやすい場面
チェーン2以降で発動条件を満たした時
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2400/守1800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。
フィールドのカードを全て破壊する。
(2):1ターンに1度、自分の墓地から植物族モンスター1体を除外し、相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手の守備表示モンスターを表側攻撃表示にし、その攻撃力はターン終了時まで0になる。
分かりやすい例となってくれるのは《ブラック・ローズ・ドラゴン》です。
ここからは具体的な状況も交えて紹介していきます。
相手は《アルバスの落胤》を通常召喚しました。手札1枚をコストにして、こちらのモンスターを融合素材にして融合モンスターを繰り出そうとしています(チェーン1)。
そこで相手ターン中にアクセルシンクロできる《フォーミュラ・シンクロン》の効果②を発動し、自身と《ガーデン・ローズ・メイデン》を素材に《ブラック・ローズ・ドラゴン》をシンクロ召喚しようとしています(チェーン2)。
無事にチェーン終了し、《ブラック・ローズ・ドラゴン》はシンクロ召喚されて、《アルバスの落胤》は対象不在により融合召喚はできませんでした。
この場合、《ブラック・ローズ・ドラゴン》はシンクロ召喚した後に、《アルバスの落胤》の効果処理を行っているのでタイミングを逃します。よって全体除去は発動できません。
《アルバスの落胤》の効果は対象不在により実質不発に終わっているのですが、効果処理を行ったという工程が存在しているためタイミングを逃すことになります。
コスト、リリース、各種素材等で墓地に送られた時
手札から墓地へ送られるという緩い条件ではあるものの、時の任意効果ゆえにやや使いにくい1枚。
このカードは手札を捨てる効果処理の後に何もない場合に特殊召喚できます。
《手札抹殺》や《王の棺》ではドローや埋葬の処理が挟まるのでタイミングを逃すというわけです。
見かけることは少ないですが、フィールドから墓地へ送られた時に発動できる《ボタニティ・ガール》や《代打バッター》などもシンクロ・リンク素材で送られると発動できません。
《ガーディアン・エアトス》+《女神の聖剣-エアトス》の組み合わせもデザイナーズコンボなのにタイミングを逃しているので非常に間違いやすいです。ご注意ください!
一連の効果の途中でその発動条件を満たした時
星10/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
(1):このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
(2):攻撃表示のこのカードが攻撃対象に選択された場合、そのダメージ計算前に発動する。
攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
(3):自分エンドフェイズに発動する。
自分フィールドの他のモンスター1体をリリースするか、このカードを破壊する。
(4):この(3)の効果以外でこのカードが破壊された時に発動できる。
自分の手札・デッキ・墓地から「ユベル-Das Abscheulich Ritter」1体を特殊召喚する。
例えば、《ユベル》を《死者蘇生》で蘇生させました。
その後、相手に墓地の《賜炎の咎姫》の効果③によって、相手フィールドの《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》と《ユベル》が破壊され、《賜炎の咎姫》が相手フィールドに自己蘇生しました。
この場合はタイミングを逃すでしょうか?それとも逃さないでしょうか?
自己蘇生の処理が挟まるからタイミングを逃す!
うんうん、ちゃんと理解してきたようね
でも《賜炎の咎姫》の効果③は同時に処理される効果よ
だから、タイミングを逃すことはないわ
…難しすぎー
初見で分かるわけなくない?
リンク3/炎属性/悪魔族/攻2700
【リンクマーカー:左/右/下】
効果モンスター2体以上
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
自分の墓地から炎属性モンスター1体を特殊召喚する。
(3):このカードが墓地に存在する状態で、相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合、自分フィールドの炎属性モンスター1体と相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊し、このカードを特殊召喚する。
《賜炎の咎姫》や「メタルフォーゼ」のように同時に処理される効果はタイミングを逃す要因にはなりません。
見分け方としては、一連のテキストで句読点(。)で区切られているかどうかです。
『~する(できる)。その後、~する。』と書かれている場合は、一連の効果処理になるためタイミングを逃す要因となります。《破壊輪》が一番分かりやすいでしょう。
新規カードによって《ユベル》の使用プレイヤーが増えているのはとても嬉しいですが、《ユベル》は「タイミングを逃す」について熟知していないと使いこなすのが難しいカードです。
これを機にぜひ覚えて、究極の愛を見つけてみてください!
魔法・罠でもタイミングを逃す?
(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは「アンティーク・ギア」モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。
(2):このカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。
魔法・罠でも《激流葬》や《奈落の落とし穴》など発動タイミングが「時の任意効果」になっているものがあります。
そもそも発動できないのでタイミングを逃すと言われることも少ないですが、カードによっては発生することがあります。
有名なところでいえば《歯車街》でしょう。
マスタールール2では別のフィールド魔法をセットし上書きすることで効果②のリクルート効果を発動可能でした。
補足
以下のルール上の処理はタイミングを逃す要因にはなりません。
・装備モンスターがいなくなったり、装備対象不適切による装備カードの破壊
・エクシーズモンスターがフィールドから離れた事によるエクシーズ素材の墓地送り
・サーチ・リクルート、またはデッキにカードを戻した後のシャッフル
・永続効果や分類されない効果の適応(チェーンブロックを作らない)
また、さきほどの不発になる場合などの状況をまとめるとこうなります。
「効果だけを無効」にした場合:タイミングを逃す
「処理すべき効果が無い」場合:タイミングを逃す
「発動を無効」にした場合:タイミングを逃さない
チェーンの組み方でタイミングを逃す?
星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。
その効果を無効にする。
●デッキからカードを手札に加える効果
●デッキからモンスターを特殊召喚する効果
●デッキからカードを墓地へ送る効果
手札誘発として有名な《灰流うらら》や《屋敷わらし》、《幽鬼うさぎ》なども「時の任意効果」をもつカードです(スペルスピード2の誘発即時効果)。
これらも発動したカードに直接チェーンして発動する必要があります。
しかし、複数のカードを同時に使用した場合、チェーンブロックの組み方次第では《灰流うらら》や《屋敷わらし》の発動タイミングを逃してしまうことがあります。
この「タイミングを逃す」はプレイング上かなり重要な部分になります。
ここからは実際のデュエルでありそうな場面を想定していきましょう。
どこかでありそうな場面
《魔界発現世行きデスガイド》を通常召喚するわ
召喚成功時に何か発動したいカードはあるかしら?
手札から《増殖するG》を捨てて効果を発動するね。
とりあえずこれが通れば一安心。
…残念ね。《増殖するG》は通すわ。
《デスガイド》の効果で《クリッター》をデッキから特殊召喚するわ。
じゃあ1枚ドローするね!
(やったぁ!《灰流うらら》引けた!)
バレバレよ。顔に出ちゃう癖は相変わらずなのね。
《デスガイド》+《クリッター》の2体で《閃刀姫-アザレア》をリンク召喚するわ。1ドローしていいよ。
墓地へ送られた《クリッター》の効果①をチェーン1、特殊召喚成功時の《アザレア》の効果①をチェーン2の順番で発動するわ。何かあるかしら?
《クリッター》のサーチ効果は止めさせてもらうよ!
手札の《灰流うらら》を捨てて…
ちょっと待って!それはできないわ。
《灰流うらら》の発動タイミングはすでに逃しているのよ
???
どういうこと?
何で《灰流うらら》のタイミングを逃すの?
さきほどの場面で《灰流うらら》の発動タイミングを逃しています。
チェーンブロックはターンプレイヤーの強制効果から順番に処理をしていくルールがあります。
チェーン解決後は逆順処理するので非ターンプレイヤーの任意効果から解決していきます。
下記の図を見ていただけると分かりやすいです。
《閃刀姫-アザレア》の効果が邪魔で、《灰流うらら》が《クリッター》の効果に直接チェーンできなくなっているのが分かると思います。
このようにチェーンブロックの組み方次第で《灰流うらら》の発動をすり抜けるといった運用ができます。
今回のケースの場合はターンプレイヤーもチェーンブロックを組む順番を決める自由はありません。
では、《クリッター》が《魔サイの戦士》だった場合のケースも紹介しましょう。
《閃刀姫-アザレア》と同じく③に2つの効果が待機しているので、自由にチェーンブロックを組むことができるようになります。
このように自分でチェーンブロックを作れる場合は妨害されたくないカードをチェーン1にすることで、より安全に効果を通すことができます。
プレイングの上達としては初歩的なものですが、これを知っているのと知らないのとでは天と地ほどの差があります。
ぜひ、プレイを重ねて覚えていってください!
チェーン終了。さっきの続きね。
《閃刀姫-アザレア》の効果①でミリアルの《ユベル》は破壊するわね。
さらに《クリッター》の効果①で《増殖するG》をデッキからサーチするわ。
《ユベル》の効果④はタイミングを逃すから《ユベル-Das Abscheulich Ritter》へは進化させない!
そんなに僕が嫌いかい?
お前にも、愛を与えてやろう
まとめ
●「同時の効果処理」or「一連の効果処理」をテキストから判断する
●タイミングを逃すことのないようにチェーンブロックの組み方に注意する
遊戯王OCGの中でも屈指の難しいルールの「タイミングを逃す」を解説しました!
必要な部分だけを解説したので不足な部分はあるかもしれませんが、全体像はこれで十分理解できると思います。
好きなカードの理解度も深まるので、ぜひ覚えてみてください!
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