最近、プレイしていてふと思うことがあります。
遊戯王OCGの基本ルールはどこまでカードデザインのインフレに耐えられるだろうか?と。
これまでもいくつかの召喚法や細かなルール整備はされてきましたが、それ以外の大きなルールの変化は「先行1ターン目の通常ドローの廃止」や「EXデッキの15枚制限」といったところで、根本的なルールは1999年スタート時からほぼ変わりません。
現在のゲーム環境はインフレが極まり、圧倒的に先行が有利になりました。
それに対しての後攻プレイヤーの対抗手段は初手で手札誘発を引く、あるいは相手に轢かれるかのどちらかしかないという状況は果たしてカードゲームと呼べるのか?と時々思うのです。
カードデザインが悪いとか、運営が悪いとかそういうつもりではなくて、すでに遊戯王OCGは基本的なルールの耐久性を超えていると感じます。建築とかと同じで構造物の宿命なのかもしれません。
一人のプレイヤーの視点ではありますが、今回は今のOCGに追加できそうなルールを考えてみました。
もし、面白そうだと思ったら余興として遊んでもらえると嬉しいです。

久しぶりに記事書いたと思ったらルールの見直し?
またニッチな領域攻めてくるなー
ちゃんと読んでくれる人いるのかな?

大きな変化が望みにくいOCGにおいてルールの見直しはありだと思うわ
新たな風…とまではいかなくても一石を投じる価値はあるはずよ
EXデッキからの展開の問題点
リスク(損失)とリワード(報酬)のバランスが悪い
まずはEXデッキの現状の問題点から。
遊戯王OCGでは融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・リンク召喚・その他の手段によって、EXデッキからモンスターを特殊召喚することができます。
しかし、このEXデッキの利用に対してのリスクはゲームデザイン上で存在していません。
それもそのはずで、原作『遊☆戯☆王』では強力な融合モンスターを特殊召喚するには《融合》カードと融合素材となるモンスター2体以上が必要で、メインデッキ内で手札事故のリスクを常に抱えているものとして調整されていました。
本来、リスクとリワードのバランスはむしろリスクの方が高く設計されていたと思います。
時代が進み、シンクロモンスター、エクシーズモンスター、ペンデュラムモンスター、リンクモンスターと続き、EXデッキから出すモンスターがエースやフィニッシャー、展開要員と様々な役割を果たすようになっていきました。
徐々にEXデッキのリスク要素が排除されて、戦術の安定感をもたらす外部の手札になっていきます。
さらにインフレが進み、制圧や妨害要員が増えて、相手がなすすべがないほどの妨害を並べて一方的なゲーム展開をするのが環境デッキでは主流となっていきました。
極端に言えば、プレイヤーがEXデッキから展開すればするほど、ゲームバランスが悪くなるのです。
これが現在の遊戯王OCGが不健全な状態になりかけている大きな原因の一つです。
お互いにEXデッキを利用できたとしても、マナシステムの存在せず超高速化した遊戯王OCGにおいては先行・後攻が天と地ほどの差を生み出します。
一方的にEXデッキを利用して大量に展開していく先行プレイヤーに対して、後攻プレイヤーは手札誘発と呼ばれるカード群を初手で引きこみ、先行展開を阻むしかないというのはカードゲームとして不健全な状態であると言わざるを得ないでしょう。
いまさら妨害も制圧も手札誘発も存在しない遊戯王OCGに戻れとは言いません。
すでに不可能ですし、現行のプレイヤーはそれを望んでいないでしょう。
それでもゲームの自由度と選択肢を保ったうえで、新たなルールを追加する時期に来ていると思います。
いわゆるリンクショックや2022以降の超インフレを超えてきたプレイヤーならば適切なルールの追記はむしろ歓迎されるはずです。
EXリロードのルールについて
ルールの概要
「EXデッキからのモンスター展開1回につき、相手プレイヤーは1枚手札交換する権利を得る」です。
これによってEXデッキの安定した戦術の利用と引き換えに、相手の手札の質が上昇して捲り札や手札誘発を引き込まれるリスクが徐々に上昇します。
カードテキスト風に分かりやすくするとこんな感じです。
そのモンスターを特殊召喚したプレイヤーから見て相手は以下のルールを適用できる。
●自分の手札を1枚選んでデッキの一番下に戻す。その後、デッキから1枚ドローする。
EXリロードは《増殖するG》や《マルチャミー・フワロス》といった展開自体を咎めることなく心理的に抑止する手札誘発から着想を得ています。
これらのカード群は現在の遊戯王OCGにおける必須カード枠となっており、勝敗に強く影響を与えているのはご存じの通りです。
しかし、ルールとしてそのまま導入した場合、1回の展開アクションに対して1ドローでは展開側にストレスが強くかかります。
そこで、手札交換できるマリガンルールと組み合わせました。
EXデッキからの展開そのものに駆け引きの要素を加えることで、ゲームはよりダイナミックなものとなっていくと思います。
ゲームのテンポはやや悪くなりますが、先行プレイヤーの一方的な蹂躙を指をくわえてみているだけよりかは幾分かマシではないでしょうか?
ルール処理は《増殖するG》等とほぼ同じですので、すんなり理解できるはずです。
①:モンスターの特殊召喚自体を無効にするタイミング(《神の宣告》など)
②:モンスターの特殊召喚に成功したタイミング
③:EXリロードのタイミング
④:《増殖するG》や《マルチャミー・フワロス》の効果適用
⑤:特殊召喚されたモンスターの特殊召喚成功時の発動タイミング
●EXリロードのルール理念
「EXリロード」のルールはあくまでEXデッキの利用プレイヤーが有利であることを支持します。
過剰にプレイをルールによって阻害することはゲームデザイン上よくないですし、プレイにストレスがかかり楽しくなくなるのは明白です。
あくまで手札交換の権利に留めておくのはこのためでもあります。
遊戯王OCGの持ち味である自由度と戦略性を伸ばしつつ、過剰な展開や制圧をルールによって抑えることを理想としています。
●EXリロードのプレイ上の利点
遊戯王OCGは様々な楽しみ方をするプレイヤーで溢れている稀有なカードゲームです。
初心者であればお互いに手札交換しあえるためスムーズなプレイがしやすくなります。
上級者になるほどに勝率を上げるためには、相手の手札交換に対してのリスクヘッジが必要になります。
カジュアルプレイヤーであれば、お互いにやりたいコンボのために多少のデッキ構築の無理が許容できるようになります。
アニメや原作の再現キャラデッキにおいても、ピンポイントなカードの採用がしやすくなり、運よく発動できれば盛り上がることでしょう。
デッキパワーのすり合わせさえできればこのルールは既存の遊び方を拡張できると思います。
●ゲームプレイの遅延について
EXデッキから展開する度に相手に手札交換をさせていては1ターンが間延びしてしまうように感じられるかもしれません。
実際にはEXデッキからの展開をなるべく最小限にしたいとお互いのプレイヤーが考えるため、1ターンあたりのEXリロードの回数自体も少なくなります。
遊戯王OCGは相手ターン中でも非ターンプレイヤーが行動することが多いカードゲームですので、そこまでストレスは感じないと想定しています。
また、「ドロー⇒戻す」ではなく、「戻す⇒ドロー」となっているのはできる限りEXリロードの時間短縮とルールとしてのパワーを落とすためでもあります。
●ターン経過に応じたリスクとリワードのバランスの変化
ターンが経過してお互いの手札が減少することによって手札交換の戦術的価値は低下していきます。
EXデッキの利用のリスクが減少し、今まで通りのプレイを行ってもあまり支障がなくなります。
大量展開を得意とするデッキは、どのタイミングで大量展開を行うのかを考える必要がありますが、完全にその利点を消失するわけではありません。
1ターン目から大量展開を行えるのは遊戯王OCGの良さの1つでもありますから。
●既存のテーマデッキの弱体化・強化について
【閃刀姫】や【イビルツイン】、【デモンスミス】【十二獣】など基本的な戦術としてEXデッキを多用するデッキは多いです。ルール上やや逆風になるでしょう。
逆に【インフェルノイド】や【粛声】、【黄金卿エルドリッチ】などEXデッキの依存度の低いデッキはEXリロードの恩恵があります。
基本的にはメインデッキ主体のデッキの方が若干有利になると思います。
《Evil★Twin キスキル・ディール》や《ライゼオル・デュオドライブ》のように必ず経由した方が強いカードにおいても、序盤はあえて経由しないという選択肢も取れます。
また、《刻まれし魔の鎮魂棺》を利用した【デモンスミス】の出張などもシェアを落とすでしょう。
ルールに対して有利・不利は常につきまといますが、構築やプレイングも含めて楽しんでいただければと思います。

既存のカードの評価が覆ることもあるってことね
プレイも構築もガラリと変わるから面白いかも?

そう思ってもらえたら嬉しいわね
カードゲームは「遊びやすく楽しい」が最も重要な要素だと思うわ
まとめ
遊戯王OCGに追加できそうなルール「EXリロード」の提案でした。
MTGの「統率者戦」のように遊戯王OCGにもユーザー発祥のカジュアルフォーマットやルールが増えてきても良い時期かなと思います。
広く遊ばれるフォーマットやルールを作るのは難しいですが、開発側と無縁のローカルルールはカードデザインの影響を受けない利点もあります。
普通の遊び方に飽きてきた方はぜひ遊んでみてください。
ご意見や感想などもコメントでお待ちしてます。
コメント
毎回EXリロードが付きまとうのはちょっとアレだけど、先行有利の是正が目的なら後攻1ターン目にその権利を与える程度ならいいかもしれない
個人的には、先行1ターン目はEXモンスターゾーンにしかEXモンスターを残せない(先行側はEXモンスター1体しか残せず、メインモンスターゾーンに存在する他のEXモンスターはターン終了時にEXデッキに戻る)とかを考えています。
先行側で制圧したいなら魔法罠も駆使してねって構造に戻したい。
コメントありがとうございます。確かに後攻プレイヤーの1ターン目のみはバランス取れてていいですね。
先行制圧がモンスター効果に偏りすぎず、過剰にならない程度で収まるのが理想ですよね。
最終的にモンスターが残る数をルール化するって発想は自分になかったのでとても参考になりました。ありがとうございました。
ズメイ積んで、どうぞ